### 抗がん剤治療中の肌を守る~色素沈着対策のポイント
抗がん剤治療を始める予定の方、現在治療中の方、そしてご家族の皆さん。
治療中はお肌が普段と違う反応を示すことをご存知でしょうか?特に紫外線に対して敏感になり、シミやくすみなどの色素沈着が起こりやすくなります。
でも心配しないでください。適切なケアがあれば、お肌のトラブルを最小限に抑えることができるんですよ。
実践的で役立つアドバイスをお伝えします。
### 抗がん剤治療がお肌に与える影響を知ろう
抗がん剤は、がん細胞だけでなく、残念ながら健康な細胞にも影響を与えることがあります。
特にお肌の新陳代謝が遅くなり、バリア機能(肌を守る力)が弱まるため、以下のような変化が現れることがあります:
• お肌が乾燥しやすくなる
• 小さな刺激でも赤みや痛みを感じやすくなる
• 日焼けしやすく、色素沈着が起こりやすい
• 傷の治りが遅くなる
こうした変化は一時的なもので、治療が終わると徐々に回復していきます。
「今は特別な時期」と考えて、この時期だけの特別なスキンケアを取り入れましょう。
### 紫外線との付き合い方~治療中こそ要注意
抗がん剤治療中は、お肌の防御機能が低下しています。
普段なら問題ない短時間の外出でも、色素沈着を引き起こす原因になることも。朝の通院時や、ちょっとしたお買い物でも紫外線対策は欠かせません。
特に注意したいのは午前10時から午後2時の間。この時間帯は紫外線が最も強いので、できるだけ外出を控えましょう。
どうしても外出が必要な場合は、日傘や帽子、サングラス、マスク、手袋など、物理的な遮光アイテムをフル活用してください。
中でも、つばの広い帽子は顔全体を守れるのでおすすめです。
実は、窓ガラスを通しても紫外線の一部(UVA)は入ってくるんですよ。
家の中でも、窓際で長時間過ごす場合は注意が必要です。レースのカーテンなどで和らげましょう。
### 肌に優しい日焼け止め選び~敏感肌でも安心
治療中のお肌には、刺激の少ない日焼け止めを選びましょう。
「ノンケミカル」や「低刺激」「敏感肌用」と表示された製品がおすすめです。
SPF30以上、PA+++以上の数値があれば十分な保護効果が期待できます。
使用時のポイントは「量」と「塗り直し」。
500円玉大の量を全顔に塗り、2時間おきに塗り直すことで効果を維持できます。
汗をかいたり、タオルで顔を拭いたりした後も忘れずに塗り直しましょう。
肌に優しいのに効果的な日焼け止めとして、亜鉛やチタンを含む「物理的」なものが特におすすめです。
これらは化学反応ではなく光を反射するため、敏感になった肌にも安心して使えます。
「ミネラルUVカット」などと表示されていることが多いので、探してみてくださいね。
「でも日焼け止めがピリピリする…」という方は、赤ちゃん用や小児用の日焼け止めを試してみるのも一つの方法です。
敏感なお肌のために作られているので、刺激が少ないものが多いんですよ。
### すでにできた色素沈着への対処法
もし色素沈着がすでに気になる場合は、コンシーラーやファンデーションでカバーする方法も効果的です。
抗がん剤治療中は肌色が変わることもあるので、現在の肌色に合ったものを選びましょう。
メイクアップの際のポイントは「薄く重ねる」こと。一度にたくさん塗るよりも、薄く何度か重ねた方が自然な仕上がりになります。
カウンターでプロに相談するのも良いですが、体調や感染予防を考慮して、今はオンライン相談を受け付けているブランドも増えていますよ。
また、美容成分としてビタミンC誘導体やトラネキサム酸配合の化粧品が色素沈着の改善に役立ちます。
ただし、新しい製品を使う際は、まず二の腕など目立たない場所でパッチテスト(肌に少量つけて反応を見ること)を行い、刺激がないか確認してください。
実は、保湿も色素沈着予防に大切です。乾燥すると肌のバリア機能が低下し、さらに色素沈着しやすくなるからです。
刺激の少ないシンプルな保湿剤で、朝晩しっかりケアしましょう。
### 治療中のスキンケア~シンプルが一番
治療中のスキンケアで大切なのは「シンプルに」「優しく」です。次のポイントを心がけましょう:
• 洗顔料は低刺激のものを選び、こすらずに優しく洗う
• 熱いお湯での洗顔は避け、ぬるま湯を使う
• 化粧水や乳液は香料や着色料の少ないシンプルなものを
• 新しい化粧品は治療中には極力試さない
もしお肌に異変を感じたら、我慢せずに担当医や看護師に相談してくださいね。早めの対応が大切です。
アピアランスケアの視点では、見た目を整えることは気持ちも明るくしてくれます。
無理のない範囲でケアを楽しみながら、治療を乗り越えていきましょう。
あなたらしく過ごすことが、治療を乗り越える大きな力になりますよ。