がん治療中に推奨される運動の種類や実施方法については、「中等度の有酸素運動」と「筋力トレーニング」を組み合わせて行うことが勧められています。
また、体調に応じて強度を調整し、「少し物足りないくらい」から始めることが重要とされています。
以下に、その内容をもとに一般論も加えて整理します。
1. 有酸素運動(心肺機能を保つ運動)
● おすすめの例
- 早足での散歩(ウォーキング)
外出できる日は15〜30分程度を目安に。坂道や階段は無理せず、自分のペースで。 - 自転車エルゴメーター(エアロバイク)
天候に左右されず室内で安全に行えます。5〜10分から始め、徐々に時間を延ばしましょう。 - 軽いジョギングや水中ウォーキング
体力が戻ってきた段階で取り入れると良いですが、主治医の許可を得てから行います。
● 強度の目安
「ややきつい」と感じる程度(息が弾むけれど会話はできるくらい)が目安です。
特に治療中は、体調を見ながら“少し物足りない”くらいから始めて継続することが大切です。
2. 筋力トレーニング(筋肉量・代謝維持)
● 自重トレーニング(器具なしでできる)
- スクワット:太ももの大腿四頭筋・お尻の筋肉を鍛える。
壁や椅子につかまりながら10回×1〜2セット。 - 腕立て伏せ(膝つきでも可):大胸筋・上腕三頭筋を刺激。
無理せず8〜12回を目安に。 - かかと上げ運動:ふくらはぎの血流改善にも効果的。
● 器具を使った軽負荷トレーニング
- ダンベルやゴムバンド(セラバンド)を使用した上肢運動
→ 肩・背中・腕など大きな筋肉群を中心に8〜12回×1日数セット。 - トレーニングマシン利用
→ 体力が戻ってきた段階でリハビリスタッフ指導のもと実施。
● ポイント
筋トレは「大胸筋」「広背筋」「大腿四頭筋」など、大きな筋肉群を中心に行うと効率的です。
疲労感や痛みがある場合は休息日を設けましょう。
3. 柔軟・呼吸法(リラクゼーション目的)
治療中は緊張や倦怠感から体がこわばりやすくなります。
深呼吸やストレッチには、心身のリラックス効果があります。
● 具体例
- 朝起きた時:軽く伸びながら深呼吸3回
- 昼食後:肩回し・首まわりストレッチ
- 就寝前:ゆっくりした腹式呼吸+全身伸ばし
これらは「気分転換」にも役立ち、睡眠の質向上にもつながります。
4. 注意点
- 発熱・強い倦怠感・貧血症状がある日は無理せず休む。
- 抗がん剤治療中など感染リスクが高い時期は、人混みやジム利用を避ける。
- 運動開始前には必ず主治医またはリハビリテーション科スタッフへ相談する。
まとめ
がん治療中でも、「適度な運動」は体力維持だけでなく気分転換にも有効です。
ポイントは「無理せず継続すること」。毎日少しずつでも身体を動かすことで、生活への自信と活力が戻ってきます。
















