### 抗がん剤治療中の手肌を守るハンドケア実践法
抗がん剤治療を受けられる方の多くが、手肌や爪の変化に悩まれます。
私はアピアランスサポート(外見ケア)に携わる者として多くの患者さんをサポートしてきました。
今日は特に見落とされがちな「手」のケアについてお伝えします。
みなさんの治療生活が少しでも快適になるよう、実践的なアドバイスをシェアしますね。
### 抗がん剤治療中に起こる手肌の変化とその理由
「なぜ急に手が荒れてきたの?」と感じる方、実はこれは治療の自然な反応なんです。
抗がん剤は急速に分裂する細胞に作用するため、がん細胞だけでなく、皮膚の新しい細胞を作る働きにも影響します。
そのため、多くの方が手の皮膚の乾燥、ひび割れ、赤み、そして爪の変色や割れやすさを経験されます。
特に手は毎日の洗濯や食器洗い、頻繁な手洗いで水や洗剤に触れるため、症状が現れやすい部位です。
でも大丈夫、適切なケアで多くの症状は和らげられますよ。
### 今日から始める!基本の手肌ケア3ステップ
まず、手肌ケアの基本をマスターしましょう!
**①優しく洗う**: 熱いお湯は皮脂を奪うので避けて、ぬるま湯で洗いましょう。
刺激の少ない石鹸(弱酸性や「アミノ酸系」と表示されたもの)を使い、ゴシゴシこすらないことがポイントです。
**②しっかり保湿**: 手を洗った後、完全に乾く前の「まだしっとりしている状態」で保湿剤を塗りましょう。
これは水分を閉じ込める黄金タイミングなんです!治療中は「無香料・無着色」の製品がおすすめです。
尿素やセラミド(肌の保湿成分)配合のクリームは特に効果的ですよ。
**③外的刺激から守る**: 家事をするときはゴム手袋を着用しましょう。
ゴムに直接触れると刺激になることがあるので、薄手の綿手袋を中に重ねるとさらに安心です。
外出時は寒風や紫外線から手を守るための手袋も効果的です。
### 患者さんから学んだ!実践的ハンドケアの工夫
これまでサポートしてきた患者さんたちから教わった、本当に役立つ工夫をご紹介します。
**寝ている間の集中ケア**: 就寝前にたっぷりとハンドクリームを塗り、綿の手袋をして眠る「ハンドパック」は驚くほど効果的です。
朝起きると手がしっとりしていて、「こんなに違うの?」と驚かれる方がほとんどですよ。
**爪のケアも忘れずに**: 抗がん剤治療中は爪も弱くなりがちです。爪用のオイルやクリームで爪も保湿してあげてください。
爪切りではなく、やすりで形を整えるほうが割れを防げます。
**症状別の対処法**:
– 痛みを伴うひび割れには:ワセリンを厚めに塗り、絆創膏で保護
– かゆみがある場合:冷たいタオルで冷やす(ただし、特定の抗がん剤で「冷やす」ことが禁止されている場合もあるので、必ず医師に確認してください)
– 爪の変色が気になる場合:マニキュアよりも負担の少ないネイルオイルがおすすめ
### 心のケアも大切です – 手は「見える」からこそ
「手の変化が気になって人前で恥ずかしい」「家族との触れ合いを避けてしまう」—そんな気持ち、十分理解できます。
手は日常的に目に入り、人との触れ合いに使う大切な部分ですよね。
でも、覚えておいてほしいことがあります。手の変化は、あなたが強い治療に立ち向かっている証です。それは決して恥ずかしいことではありません。
同じ治療を受けている仲間とのおしゃべり会や、オンラインコミュニティでの情報交換も心強いサポートになります。
「私だけじゃない」と知るだけで気持ちが楽になることも多いんですよ。
大切なのは完璧なケアではなく、自分を大切にする小さな習慣です。
ハンドクリームを塗る一瞬一瞬が、自分へのご褒美の時間になりますように。
みなさんの治療の日々に、少しでも快適な時間が増えることを心から願っています。一緒に、この時期を乗り越えていきましょうね。