### 医療チームとコミュニケーションをとる―抗がん剤治療中の外見ケア
抗がん剤治療を始めると、髪が抜けたり肌色が変わったりと、見た目に変化が現れることがあります。
そんな変化に戸惑う気持ちは自然なものです。でも大丈夫。
外見の変化に上手に対応することで、治療中も自分らしさを保ち、前向きな気持ちで過ごせるようになります。
医療チームと上手に連携して乗り切るコツをお伝えします。
### 相談前に準備しておくと安心なこと
「何を質問していいか分からない」という方も多いはず。まずは、以下の準備をしておくと安心です。
診察の前に、あなたが気になることをメモしておきましょう。
例えば「髪はいつ頃から抜け始めるの?」「全部抜けるの?」「ウィッグはいつ準備すべき?」「帽子やスカーフでも代用できる?」
など具体的な疑問をリストにしておくと、限られた診察時間を有効に使えます。
また、普段のヘアスタイルの写真をスマホに保存しておくと便利です。
「今の髪型に近いウィッグを探したい」という希望が伝わりやすくなります。お気に入りのウィッグカタログがあれば、それも持参するといいでしょう。
診察での説明は緊張していると忘れてしまうもの。ご家族に同席してもらうか、医師の許可を得て会話を録音しておくと後で振り返られて安心です。
### 医療チームへの相談タイミングと方法
「医師や看護師さんは忙しそう…質問していいのかな」と遠慮する方も多いですが、あなたの不安や疑問は治療の大切な情報です。
遠慮せずに伝えましょう。
治療の説明を受けたら、すぐに外見ケアについても質問するのがベストです。
例えばこんな風に切り出してみましょう:「髪が抜ける可能性のある治療と伺いました。外見の変化について相談できる方はいますか?」
多くの病院には、外見ケアに詳しい看護師や専門の相談員がいます。がん相談支援センターなどの窓口も活用できます。
「次回までに調べておきます」と言われた場合は、次の診察で「前回お願いした外見ケアの情報について教えていただけますか」と、忘れずに確認しましょう。
医療者はたくさんの患者さんを担当しているので、あなたから積極的に質問することが、自分らしく治療を続けるための第一歩です。
### 専門家との連携で心強くなるポイント
治療中の外見ケアは、病院の医療チームと外部の専門家(ウィッグサロンや美容室など)が連携することで、より充実したサポートが受けられます。そのかけ橋となるのは、あなた自身です。
病院で受けたアドバイスはメモや録音で記録しておき、ウィッグショップなどを訪問する際に伝えましょう。
たとえば「抗がん剤治療は3か月の予定で、髪は治療開始から1か月後に抜け始める可能性があると医師から説明を受けました」
と専門家に伝えると、あなたのタイミングに合った提案を受けられます。
逆に、ウィッグ選びで専門家から受けたアドバイス(「このタイプのウィッグは夏場は暑いので、別の素材も検討されては」など)
を主治医に伝えることで、あなたの生活スタイルに合わせた治療計画の相談もできるかもしれません。
医療者とウィッグサロンなど外部の専門家は、直接連絡を取り合うことは少ないので、あなたの情報共有が、よりよいケアを実現する大切な架け橋となります。
不安なことも希望も、遠慮せず伝えてみましょう。