がん治療中のセルフケアは、治療効果を高め、副作用を軽減し、生活の質(QOL)を保つために欠かせない要素です。
医療チームによる専門的な治療と並行して、自分自身の体調や生活習慣を整えることが、回復への大きな支えになります。
本記事では一般論から、がん治療中に実践したいセルフケアの基本について整理します。
1. 体調変化を「記録」することから始めよう
まず最も大切なのは、「自分の体調を観察し、記録する」ことです。
治療による副作用や体調変化は個人差が大きく、その日の気温・食事・睡眠などにも影響されます。
日々の症状(食欲、痛み、吐き気、便通、睡眠時間など)を簡単にメモしておくことで、小さな変化にも早く気づけます。
専門家によるチェック済みの知識体系でも、「治療結果や体調の記録を取り、担当医に伝える」ことが推奨されています。
診察時にはこの記録が重要な情報源となり、副作用対策や薬剤調整などに役立ちます。
また薬剤師や栄養士など他職種から受けた助言も書き留めておくとよいでしょう。
2. 栄養バランスと食事への工夫
食事は心身のエネルギー源でありながら、副作用(味覚障害・嚥下困難・口内炎など)の影響で摂取が難しくなる場合があります。
健康的な生活維持には、「植物由来食品も取り入れたバランスの良い食事」が勧められています。
脂質や糖分を控えつつ、タンパク質源として魚・豆類・卵などを上手に組み合わせましょう。
また、水分補給も忘れてはいけません。脱水は倦怠感や便秘を悪化させる原因になります。
冷たい飲み物より常温水やスープなどでこまめに補うとよいでしょう。
3. 適度な運動で「活動的な生活」を維持
治療中でも可能な範囲で身体を動かすことは非常に重要です。
長期間安静にしていると筋力低下や血流悪化につながり、倦怠感が強まります。
「無理なく続けられる軽い運動」を目標にしましょう。散歩やストレッチ程度でも構いません。
「活動的な生活」を意識するだけでも代謝改善につながります。
ただし発熱時や極端な疲労時には休息が優先です。不安がある場合は主治医またはリハビリスタッフへ相談してください。
4. 禁煙・節酒と感染予防
喫煙は再発リスクだけでなく創傷治癒遅延にも関係します。
またアルコールも肝機能への負担となり、副作用増強につながる場合があります。そのため「禁煙」と「節酒」はセルフケアの基本です。
さらに免疫力低下期には感染予防も重要です。
「かかりつけ医とともにワクチン接種や予防医学的対応」を行うことが推奨されています。
外出後の手洗いやマスク着用、人混み回避などの日常的対策も継続しましょう。
5. 心のケア ― 感情との付き合い方
身体だけでなく心へのケアも欠かせません。不安・怒り・孤独感など、多様な感情が生じるのは自然な反応です。
一人で抱え込まず、信頼できる家族・友人・医療スタッフへ話すことで心が軽くなることがあります。
また病院内には「がん相談支援センター」など心理的サポート窓口がありますので積極的に活用しましょう。
深呼吸法や瞑想などリラクゼーション法も有効です。
「今できていること」に目を向け、小さな達成感を積み重ねていく姿勢が心身双方によい影響を与えます。
6. 定期受診と検査フォローアップ
自己判断で通院間隔を空けたり薬剤服用を中断することは避けましょう。
「定期受診」は病状把握だけでなく、新しい副作用対策や再発予防策につながります。また他臓器への二次がん検診も忘れず受けてください。
おわりに
セルフケアとは「自分一人で頑張る」ことではなく、「自分自身の状態を理解し、医療者と協働して最善の状態へ導く」行為です。
日々の小さな工夫—記録する習慣、食事内容への配慮、適度な運動—これらすべてがあなた自身の回復力につながります。
そして何より、自分自身の体と心に耳を傾ける時間こそが最大のセルフケアと言えるでしょう。
 
                         

















