がんの治療(抗がん剤治療)に直面したとき、多くの人が体調への不安とともに、外見の変化に戸惑いを覚えます。「病人らしい姿」になっていく自分を鏡で見て、気持ちまで沈んでしまうこともあるかもしれません。
しかし、近年では治療による外見の変化をカバーし、患者の心理的・社会的な負担を軽減する「アピアランスケア」の重要性が広く認知されるようになってきました。病気になったからといって、自分らしいおしゃれやときめきを手放す必要はありません。むしろ、こんなときだからこそ、お気に入りの装いやメイクを味方につけて、自分らしく生きるエネルギーに変えていきましょう。
抗がん剤治療中でも心地よく、そして何よりあなたらしいおしゃれを楽しむためのヒントをご紹介します。
1. 「新しい自分」に出会うヘアスタイル
抗がん剤治療が始まると、多くの場合は2〜3週間ほどで脱毛が始まります。これは治療に伴う一時的な変化であり、治療が終了すれば数ヶ月で再び髪は生え始めます。
この期間を前向きに乗り切るために、医療用ウィッグやケア帽子は大いに役立ちます。
  • 医療用ウィッグで冒険する: 最近の医療用ウィッグは非常に自然で、スタイルやカラーのバリエーションも豊富です。普段は挑戦できなかったショートカットや、憧れていたヘアカラーを選んで「新しい自分」を楽しんでみるのも一つの手です。
  • 涼しさとデザインを両立したケア帽子: フルウィッグの暑さや締め付けが気になる時は、デザイン性の高いスカーフハットやターバン風の医療用帽子がおすすめです。肌に優しいオーガニックコットンなどの素材を選べば、デリケートな頭皮を保護しながら、洗練された印象を演出できます。
2. くすみを吹き飛ばす「血色感」メイク
抗がん剤の副作用によって、皮膚に色素沈着が起きたり、顔色がくすんで見えたりすることがあります。また、眉毛やまつ毛が抜けることで、顔の印象がぼやけてしまうことも少なくありません。
ファンケル「なごみタイム」など大手化粧品メーカーからもがん患者向けの外見ケア情報が発信されているように、少しのメイクのコツで、一気に健康的で華やかな表情を取り戻すことができます。
  • ベースメイクで透明感をプラス: 肌が敏感になりやすいため、まずは低刺激の保湿ケアを徹底しましょう。その上で、コントロールカラー(ピンクやラベンダー系)を使って肌のくすみや色ムラをカバーすると、自然な透明感と明るさが生まれます。
  • アイブロウパウダーで自然な眉を: 眉毛が薄くなったときは、アイブロウペンシルだけで描くと不自然になりがちです。パウダーを使ってふんわりと全体を描き、ウィッグの髪色と合わせることで、驚くほどナチュラルに仕上がります。
  • リップとチークで生き生きと: パッと顔色を明るく見せてくれるのは、やはり血色感です。少し明るめのピンクやコーラル系のリップ・チークを入れるだけで、鏡の中の自分が一気に生き生きと輝き出します。
3. 心を自由にするファッションの選び方
治療中は、点滴の針を通しやすかったり、体に締め付けがなかったりする機能的な服を選びがちです。しかし、機能性だけに縛られる必要はありません。
  • 明るいカラーを身にまとう: 黒やグレーなどの暗い色を選びがちなときこそ、あえてお気に入りの明るい色や、鮮やかなカラーのトップスを選んでみてください。色彩の力はダイレクトに心に作用し、気分を上向きにしてくれます。
  • アクセサリーで視線を集める: お気に入りの大ぶりなピアスやイヤリング、ネックレスをつけることで、顔まわりに華やかさが加わります。視線がアクセサリーに集まるため、ウィッグや肌のコンディションが気になる時のカバーにもなります。
鏡の中の自分を、もう一度好きになるために
がんの治療は、決して楽な道のりではありません。しかし、治療はあなたという存在のほんの一部に過ぎず、あなた自身の美しさや個性を奪うものではありません。
「病人らしく」過ごすのではなく、一歩外へ出るときにお気に入りのメイクをして、お気に入りの帽子をかぶる。それだけで、沈んでいた心が少しだけ軽くなり、「今日も自分らしく生きよう」という前向きなパワーが湧いてくるはずです。
おしゃれは、あなた自身の尊厳を守り、笑顔で毎日を過ごすための強力なサポーターです。周囲の目や病気に縛られず、あなただけの「可愛い」「素敵」を、ぜひ今日から楽しんでみてください。