脱毛対策として「頭皮冷却(スカルプクーリング)」は、抗がん剤治療に伴う脱毛を減らす選択肢の一つとして位置づけられています(ただし、効果の程度・適応は治療内容によって異なる、という前提です)。
一方で、「どの抗がん剤で何%脱毛が減る」といった数値レベルの詳細は明記されていません。
そのため以下は、**一般論(臨床研究で広く報告されている内容)**として、頭皮冷却の効果を整理します。
個別の治療レジメンや体質で結果が変わるため、最終判断は主治医・化学療法室と相談してください。
頭皮冷却(スカルプクーリング)の効果
1) 期待できる主な効果:脱毛の「程度を減らす」
頭皮冷却の一番の目的は、抗がん剤による脱毛をゼロにすることではなく、一般に
- 脱毛の程度を軽くする
- ウィッグが不要、または帽子で対応できる程度に抑える
- 髪が抜ける時期を遅らせる/抜け方をゆるやかにする
といった形で、「見た目・心理的負担を減らす」ことです。
臨床試験では、特に**乳がん領域で用いられるタキサン系(例:パクリタキセル、ドセタキセル)**などで、頭皮冷却を行った群のほうが「脱毛が重度になりにくい」「ウィッグが必要になりにくい」といった結果が複数報告されています。
一方、**アンスラサイクリン系(例:ドキソルビシン、エピルビシン)**が入る治療では、効く人もいますが、全体としてはタキサン系単独より成功率が下がりやすい傾向が知られています。
2) なぜ効くのか(仕組み)
頭皮を冷やすと、
- 頭皮の血管が収縮して血流が減る(=抗がん剤が毛根へ届きにくくなる)
- 毛包細胞の代謝が下がり、抗がん剤の影響を受けにくくなる
と考えられています。
3) 効果の限界・注意点(重要)
頭皮冷却は万能ではなく、次の点を理解しておくことが大切です。
- 薬剤・用量・投与スケジュールで効果が変わる
- 個人差が大きい(同じ治療でも効く人/効きにくい人がいる)
- 眉毛・まつ毛・体毛の脱毛には基本的に効果が乏しい(頭皮限定)
- 髪質の変化(うねり、細さ)などは完全には防げないことがある
4) 受けるうえでの実際的な負担・副作用
よくあるのは
- 冷たさによる痛み、頭痛
- しびれ感、不快感
で、多くは時間とともに慣れるか、鎮痛薬などで対応可能です。
ただし「我慢して続ける」ものではないので、つらい場合は化学療法室に伝えるのが安全です。
5) どんな人が主治医に相談するとよいか
- 脱毛の心理的負担が大きい
- 仕事・育児・介護などで「外見の変化を最小限にしたい」事情がある
- 使用予定のレジメンが頭皮冷却の対象になっている可能性がある
この場合は、治療開始前に「頭皮冷却は可能か」「自分の抗がん剤で効果が期待できるか」「費用・所要時間」を確認するのが現実的です。
一般論として「その治療だと頭皮冷却の効果が出やすい/出にくい傾向」や、事前に確認すべき点を少し具体化して主治医にご相談くださいね。
















