抗がん剤治療中の外見変化に対するアピアランスケアとして、ウィッグや皮膚の変化に対応した化粧法が紹介されています。

そこでは、「治療前とまったく同じ姿を再現する必要はなく、“健康そうで自分らしく見える外見”を整えることが大切」とされています。

この考え方をもとに、一般論も加えて、治療中でも実践しやすいメイクの具体例を以下にまとめます。


1. ベースメイク:肌を整え、血色感をプラス

● スキンケア

抗がん剤治療中は皮膚が乾燥しやすいため、低刺激・保湿重視が基本です。
洗顔後はアルコールフリーの化粧水と乳液でしっかり保湿します。
日焼け止め(SPF20〜30程度)も忘れずに。

● ファンデーション

  • タイプ:リキッドまたはクリームタイプ(乾燥対策)
  • 色選び:首より半トーン明るい自然色
  • 塗り方:スポンジで軽く叩き込むように。厚塗りせず、薄く均一に。

顔色が悪く見えるときは、ピンク系下地を少量混ぜると血色感が出ます。

● チーク

専門家監修情報にもあるように、「健康そうに見える工夫」が大切です。
男性でもほほ紅を少しつけて勤務する例も紹介されています。
→ クリームチークを頬骨の高い位置に指でポンポンとのせ、自然な温かみを演出しましょう。


2. アイメイク:眉・まつ毛の脱毛への対応

● 眉メイク

眉毛は顔全体の印象を決める重要ポイントです。

  • 描き方:眉頭から眉山まで骨格ラインに沿ってペンシルで軽く描き、パウダーでぼかす。
  • テンプレート使用:左右バランスを取りやすく初心者にもおすすめ。
  • カラー:髪色よりワントーン明るいブラウン系が自然。

汗や皮脂で落ちないウォータープルーフタイプを選ぶと安心です。

● アイライン・アイシャドウ

まつ毛が抜けた場合でも、上まぶた際に細いラインを引くだけで目力アップします。

  • アイライナーはブラウンまたはグレー系で柔らかい印象に。
  • アイシャドウはベージュ〜ピンクブラウン系など肌なじみの良い色味がおすすめ。
  • 下まぶたにはハイライトカラーを少量入れると明るさが出ます。

● まつ毛対策

まつ毛脱落時には、

  • 医療用接着剤付きつけまつげ(短めナチュラルタイプ)
  • またはマスカラ代わりに「透明コーティングジェル」使用
    など低刺激製品で対応できます。

3. リップメイク:潤い+血色感

抗がん剤治療中は唇も乾燥しやすいため、「保湿+ほんのり発色」が理想です。

  1. 無香料リップクリームで保湿。
  2. ナチュラルピンクまたはコーラル系リップティントを軽く重ねる。
  3. グロスまたはバームでツヤ感プラス。

強い発色よりも「健康的な自然さ」を意識しましょう。


4. ネイルケア・爪カバー

爪の変色や割れには次の方法があります:

  • 肌色に近いベージュ系マニキュア+マットトップコートでカバー。
  • ネイルチップ利用も可(職場規定確認)。

専門家監修情報でも、「名刺交換時など手元への視線対策として有効」とされています。


5. 男性向けメイク例

男性の場合も「顔色補正」「清潔感維持」は同様です。

  • BBクリームまたはトーンアップ下地で肌ムラ補正。
  • 顔色が悪く見える場合、薄くチーク(オレンジ系)を入れると健康的印象になります。
  • 唇には無色リップクリームのみでも十分効果的です。

6. メイク用品選びのポイント

項目 推奨条件
成分 無香料・アルコールフリー・敏感肌対応
タイプ 石けんオフ可能な軽いつけ心地
衛生管理 チップ・ブラシ類は週1回洗浄

感染予防のため、他人との共用は避けてください。


7. 専門家サポート活用

病院内や地域によっては「アピアランス支援センター」「美容師・看護師によるメイク講座」が開催されています。

自分では難しい部分(眉デザインなど)はプロから学ぶことで安心して続けられます。


まとめ

抗がん剤治療中のメイクとは、「隠す」ことではなく「自分らしく整える」ことです。

✔ 肌への優しさ最優先
✔ 健康的な血色感づくり
✔ 自然体で前向きになれる工夫

鏡を見る時間が“苦痛”から“励み”へ変わる瞬間、それこそがカバーメイク最大の効果です。

「今できるおしゃれ」を楽しむ気持ちこそ、あなた自身を支える力になります。