がんの手術や事故などで身体の一部を失ったとき、「見た目を取り戻したい」「人前でも自然に過ごしたい」という思いを支えてくれるのが**エピテーゼ(Epithese)**です。
しかし、実際に作るとなると「高額そう」「保険は使えるの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。

ここでは一般的な情報をもとに、エピテーゼの保険適用状況と費用サポート制度について解説します。


1. エピテーゼとは?

エピテーゼとは、病気やけが、手術などで失われた身体の一部(顔・耳・鼻・指・乳房など)の形態や機能を補うために作られる**人工補綴物(義補綴物)**です。
特にがん治療後には、切除した部位をカバーし「自分らしい外見」を取り戻す目的で使用されます。

素材にはシリコーン樹脂など生体親和性高い柔軟素材が使われ、皮膚色や質感まで自然に再現できます。


2. 保険適用の現状

結論から言うと、**日本ではエピテーゼそのものは原則として健康保険適用外(自由診療扱い)**です。
ただし、一部例外的に医療行為として認められるケースがあります。

【A】医療行為として認められる場合

  • 顎顔面補綴(口腔内構造含む)
  • 義眼床形成
  • インプラント固定式補綴

これらは「機能回復」が主目的の場合であり、医師判断で必要性が認められた場合のみ保険対象になることがあります。

【B】美容・外見回復目的の場合

  • 顔面・耳介・鼻・乳房など“見た目”中心のエピテーゼは自由診療扱いになります。
  • 費用目安:10万〜50万円前後(オーダーメイド/素材によって変動)

3. 公的助成制度

近年では自治体レベルでアピアランスケア支援事業が広まりつつあります。
以下のような助成金制度が設けられている地域もあります。

支援内容 対象例
医療用ウィッグ購入費助成 上限5万円程度
乳房補整具(パッド等)助成 上限5万円程度
エピテーゼ製作費助成 一部自治体で支給

※申請条件や金額は自治体ごとに異なります。「お住まい+アピアランスケア 助成」などで検索すると最新情報確認可能です。


4. 医療費控除対象になる?

自由診療扱いでも、「治療上必要」と医師が判断し証明書発行された場合には、確定申告時に医療費控除対象となるケースもあります。

領収書や証明書類は必ず保管しておきましょう。


5. 費用負担軽減の工夫

  1. 製作前相談
    → 病院内「アピアランス支援センター」または形成外科窓口へ相談し、自分の場合どこまで公的支援受けられるか確認。
  2. 複数施設比較
    → 素材・技術力だけでなく価格設定にも差があります。
  3. メンテナンス計画立案
    → 修理対応可否&保証期間確認して長期コスト把握しましょう。

【まとめ】

日本では現時点でエピテーゼ本体への健康保険適用範囲は限定的ですが、「顎顔面補綴」など一部医療行為として認められるケースもあります。

また、多くの自治体では独自助成制度や医療費控除活用によって経済的負担軽減できる可能性があります。

「自分の場合どうなる?」と思ったらまず主治医または病院内相談支援センターへ相談してください。

“あなた自身”だからこそ似合う自然な形、その実現を安心して進めていくためにも正確な情報収集から始めましょう!