### がん治療を乗り越えるアピアランスケアの大切さ

抗がん剤治療が始まるとき、多くの方が「体調の変化」だけでなく「見た目の変化」にも不安を感じています。

10年以上、医療用ウィッグを通じて多くの患者さんと関わってきた経験から、お伝えしたいことがあります。

外見の変化に上手に対応することが、あなたの自信回復の大きな支えになるんですよ。

抗がん剤の種類によっては脱毛が起こることがありますが、事前に準備しておくことで心の負担をぐっと軽くできます。

「いつ髪が抜け始めるの?」と不安に思われる方も多いですが、一般的には治療開始から2〜3週間後に始まることが多いです。

その前に準備をしておきましょう。

医療用ウィッグは事前に選んでおくと安心です。

最初はぴったりのものを見つけるのに時間がかかるかもしれませんが、今はとても自然な仕上がりのものがたくさんあります。

「以前と違う髪型にチャレンジする機会」と考える方もいらっしゃいますよ。

うれしいことに、最近では医療用ウィッグの購入に対する助成制度が増えています。

健康保険の適用は難しいですが、お住まいの自治体や民間団体による補助が受けられる場合があります。

病院のソーシャルワーカーさんや看護師さんに気軽に相談してみてくださいね。

アピアランスケア(外見ケア)は「見た目だけの問題」ではありません。あなたらしく過ごすための大切なケアなんです。

### 目標設定で前向きな気持ちを育む

「治療中はただ耐えるだけ…」と思っていませんか?そんなときこそ、小さな目標を持つことをおすすめします。

「今日は10分だけ散歩する」「好きな本を1章読む」など、ちょっとした目標でいいんです。

実際に私がサポートしたAさん(40代女性)は、抗がん剤治療中に「今日できることノート」を作っていました。

「今日は5分多く歩けた」「新しいスープのレシピに挑戦した」など、小さな成功体験を書き留めるうちに、少しずつ自信を取り戻していったそうです。

治療が終わった後も、目標設定の習慣は役立ちます。

Aさんは治療後に水彩画を始め、今では地域の展示会に出品するまでになりました。

「がんになって失ったものもあるけど、新しく見つけたものもある」とおっしゃっていました。

ご家族の皆さんへ:患者さんの小さな達成を一緒に喜んであげてください。

「今日はよく頑張ったね」という言葉が、大きな支えになります。時には本人が気づいていない成長を教えてあげることも大切です。

### 再発への不安と上手に付き合う方法

治療を終えた多くの方が「再発したらどうしよう」という不安を抱えています。

これは自然な感情ですから、自分を責める必要はありません。大切なのは、その不安とどう付き合うかです。

不安を感じたら、まず深呼吸をして、「今、この瞬間」に意識を戻してみましょう。

心配事の多くは実際には起こらないものです。

私がサポートしたBさん(50代男性)は、不安になったときに「今日の空の色」に注目する習慣をつけていました。

今この瞬間に集中することで、未来への過度な心配から少し離れることができるそうです。

定期検診をきちんと受けることも大切です。「何か異変があったらすぐわかる」という安心感が持てますよ。

また、自分でできる健康管理(バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠など)を続けることで、「自分でできることはしている」という自信につながります。

同じ経験をした方との交流も心強い支えになります。

病院のがんサロンやオンラインのピアサポートグループなど、今はさまざまな交流の場があります。

「誰にも分かってもらえない」と感じたときは、同じ経験をした仲間の言葉が心に響くことがあります。

がん経験者の多くが「以前とは違う自分になった」と感じます。でも、それは悪いことばかりではありません。

価値観が変わり、「本当に大切なもの」が見えてくることもあります。

新しい自分との付き合い方を少しずつ見つけていくことで、より豊かな毎日を過ごせるようになりますよ。