医療用ウィッグとは、抗がん剤治療の副作用や脱毛症、不慮の事故などで髪を失った方が、日常生活を送る上での精神的負担を軽減し、生活の質(QOL)を維持する目的で使用するかつらです。
 
おしゃれ目的のファッション用ウィッグとは異なり、デリケートな頭皮への配慮や、長時間の着用に適した機能性が備わっています。 
1. ファッション用との主な違い
  • 素材と肌触り: 脱毛後の敏感な頭皮に直接触れるため、内側のネットには通気性が高く、肌当たりの柔らかい素材(オーガニックコットンなど)が使用されます。
  • 植毛方法: 多くの医療用は熟練した職人による「総手植え」で作られており、非常に軽く、つむじや分け目が自然に見えるよう工夫されています。
  • ずれにくさ: 毛量の変化に合わせてサイズ調節ができるアジャスターや、テープを使わなくても固定できるシリコーン素材が採用されているものもあります。 
2. 安心・安全の基準「JIS規格(Med.ウィッグ)」 
2015年に医療用ウィッグの日本産業規格(JIS S 9623)が制定されました。 
  • 適合検査: 皮膚貼付試験(パッチテスト)やホルムアルデヒド検査、毛髪の引張強度、色落ち(堅牢度)など、厳しい基準をクリアした製品には「M.Wigマーク」が表示されます。
  • 選び方の目安: 安心して毎日使用するために、このマークがある製品を選ぶことが一つの基準となります。 
3. 費用と助成金制度
  • 保険適用外: 医療用という名称ですが、現時点(2026年1月現在)で健康保険は適用されず、全額自己負担となります。
  • 自治体の助成金: 多くの自治体では、がん患者の就労や社会参加を支援するため、購入費用の一部を助成する制度を設けています。お住まいの地域の保健所や役所の窓口で確認することをお勧めします。 
医療用ウィッグは、単なる身だしなみの道具ではなく、自分らしさを取り戻し、前向きに治療や生活を送るためのサポート器具としての役割を担っています。