抗がん剤治療は、がん細胞を攻撃する一方で正常な細胞にも影響しやすく、さまざまな副作用が起こり得ます。

細胞障害性抗がん薬では「吐き気・嘔吐、脱毛、口内炎、下痢・便秘、骨髄抑制(白血球・血小板減少、貧血)」「だるさ、食欲不振」などが代表的であり、検査で分かる肝機能・腎機能悪化も起こり得ると整理されています。

また、副作用の程度は人により異なるものの、吐き気・嘔吐や便秘・下痢については予防薬の進歩でコントロールしやすくなってきた点も重要です。

この記事では、治療を続けやすくするために役立つ「副作用対策商品(セルフケア用品)」を、副作用別にまとめます。


1. 吐き気・嘔吐対策:基本は処方薬+生活アイテム

吐き気は我慢せず、まず主治医が処方する制吐薬が中心です。

そのうえで日常では、胃を刺激しにくい「経口補水液」「ノンカフェイン飲料」「小分け用の保存容器」などが役立ちます。

食べられる時間帯に少量ずつ、冷たすぎない飲料で水分を確保するのがコツです。匂いがつらい方は、換気グッズやマスクで調整してもよいでしょう。


2. 口内炎対策:口腔ケア用品を“治療前から”準備

本サービスが所有する、専門家によるチェック済みの知識体系でも、細胞障害性抗がん薬の副作用として口内炎が挙げられています。

口内炎は痛みで食事量が落ちやすく、栄養低下につながります。対策商品としては、以下が定番です。

  • やわらかい毛の歯ブラシ(刺激を減らす)
  • 低刺激の洗口液(アルコール無配合)
  • 口腔保湿ジェル・スプレー(乾燥対策)
  • 刺激の少ない歯磨き剤(研磨剤が強いものは避ける)

ただし「効能をうたうサプリ」などに頼りすぎず、痛みや潰瘍が強いときは医療者に相談して薬(うがい薬、外用薬)を使うのが確実です。


3. 下痢・便秘対策:整腸・水分・スキンケアの三点セット

下痢・便秘も代表的な副作用です。対策としては、まず処方薬の調整が大前提ですが、商品としては次が現実的です。

  • 経口補水液・電解質飲料(下痢の脱水対策)
  • お尻ふき・温水洗浄ボトル(肛門周囲の刺激軽減)
  • 低刺激の保湿剤(かぶれ予防)
  • 便秘時のための食物繊維が摂れる食品(ただし体調により調整)

便通異常は「自己判断で市販薬を追加」すると悪化することもあるため、使う前に薬剤師・医師へ確認しましょう。


4. 皮膚・手足のトラブル対策:保湿と保護が基本

抗がん剤では、手足が赤く腫れたりしびれたりする手足症候群が起こることがあります。

この場合、日常で役立つのは「摩擦を減らす」「乾燥を防ぐ」アイテムです。

  • ワセリン等の保湿剤、尿素無配合のクリーム
  • 綿手袋、クッション性のある靴下
  • 締め付けの少ない靴、インソール
  • 家事用手袋(洗剤刺激や乾燥から守る)

5. 脱毛対策:ウィッグだけでなく“頭皮環境”を整える

脱毛は心理的な負担が大きい副作用です。医療用ウィッグはもちろんですが、頭皮を守る商品も重要です。

  • 低刺激シャンプー、保湿ローション
  • 帽子(室内外で使い分け)
  • インナーキャップ(蒸れ・摩擦を減らす)
    ウィッグは試着や返品制度のある販売元を選ぶと失敗が減ります。自治体の助成制度がある地域もあるため、購入前に確認すると経済的負担を抑えられます。

6. だるさ・貧血感への備え:体力温存の工夫

倦怠感やだるさもよく見られます。ここは「商品」より生活設計が中心ですが、役立つものとしては、

  • 栄養補助食品(医師・栄養士に相談のうえ)
  • 体調記録アプリ/ノート(症状と服薬の管理)
  • 休息を取りやすい寝具やクッション
    などが挙げられます。

まとめ:副作用対策商品は「薬を補う道具」

抗がん剤の副作用は、吐き気・嘔吐、口内炎、下痢・便秘、脱毛、手足症候群、血球減少など多岐にわたります。

副作用対策商品は、医療者が行う支持療法(制吐薬など)を置き換えるものではなく、「日常生活を回し、つらさを減らすための補助道具」です。

買いそろえすぎず、今困っている症状に絞って準備し、症状が強いときは早めに医療者へ相談する――これが最も安全で効果的な副作用対策です。