カバーメイク（アピアランスケアの一部）による心理的・社会的効果について明確な記載があります。
そこでは、「外見の変化を整えることで“自分らしさ”を取り戻し、治療への意欲や生活の質（QOL）を高めることができる」とされています。
また、「健康そうに見える工夫は、患者本人だけでなく周囲との関係にも良い影響を与える」とも述べられています。
この内容を踏まえ、一般論も加えて「カバーメイクの効果」を整理します。
1. 心への効果 ― 自信と前向きさを取り戻す
抗がん剤治療中は脱毛や肌トラブルなど外見変化により、「鏡を見るのがつらい」「人前に出たくない」と感じる方が多くいます。
カバーメイクはこうした気持ちに寄り添い、
- 鏡を見る時間が“苦痛”から“励み”へ変わる
- 「今日も頑張ろう」という気持ちにつながる
- 自分自身への肯定感（セルフイメージ）が回復する
といった心理的支えになります。
実際、医療現場でも「メイク後に笑顔が増えた」「外出意欲が戻った」という声が多く報告されています。
2. 社会的効果 ― 人との関わりを保ちやすくなる
外見変化によって生じやすい「他人の視線への不安」や「職場・学校での孤立感」は、メイクによって軽減できます。
- 健康そうな印象になることで周囲とのコミュニケーションが円滑になる
- 職場復帰や社会参加へのハードルが下がる
- “病気ではなく一人の自分として接してもらえる”安心感
つまり、カバーメイクは単なる美容行為ではなく、“社会とのつながりを守るツール”でもあります。
3. 身体面への効果 ― スキンケア習慣による皮膚保護
カバーメイクでは必ずスキンケア（保湿・紫外線対策）から始めます。これにより、
- 治療中の乾燥肌・かゆみ予防
- 紫外線刺激から皮膚炎悪化防止
など皮膚トラブル軽減にも役立ちます。
また、眉描きやチークなど手先作業そのものがリハビリ的要素となり、集中力維持やストレス発散にもつながります。
4. 家族・周囲への良い影響
患者本人だけでなく、ご家族や友人にもポジティブな変化があります。
- 「元気そうに見えて安心した」
- 「以前と同じように話しかけやすくなった」
という声も多く聞かれます。
つまりカバーメイクは、“自分と周囲双方の心を癒すケア”とも言えます。
5. 医療チームとの連携促進
看護師・薬剤師・臨床心理士など医療スタッフと相談しながら行うことで、副作用管理にも役立ちます。例えば、
- 肌荒れ時には低刺激製品選択指導
- 爪トラブル時にはネイルコート提案
など、安全性確保と快適性向上を両立できます。
6. 科学的根拠（エビデンス）の方向性
国内外研究でも、「アピアランスケア介入後に抑うつ症状軽減」「自己効力感向上」が報告されています。特に日本サポーティブケア学会ガイドラインでは、“心理社会的支援として有効な非薬物療法”として位置づけられています。
【まとめ】
カバーメイクの主な効果は次の3点です：
✅ 心理的効果：自信回復・前向きな気持ち維持
✅ 社会的効果：人間関係改善・社会参加促進
✅ 身体的効果：皮膚保護・副作用軽減サポート
そして何より大切なのは、「完璧さより、自分らしさ」。鏡を見るたび少し笑顔になれる――それこそがカバーメイク最大の価値です。
