がん治療や事故、先天的な理由などで身体の一部を失ったとき、「見た目が変わってしまう」「人前に出るのが不安」「自分らしさを取り戻したい」と感じる方は少なくありません。

そんな時、心強い味方となるのが「エピテーゼ(epithese)」です。

近年、アピアランスケア(外見ケア)の重要性が高まる中で注目されているこの医療用補綴物について、その基礎知識と活用法を詳しくご紹介します。


1. エピテーゼとは?

エピテーゼとは、病気やけが、手術などで失われた身体の一部――顔面・耳・鼻・指・乳房など――の形態や機能を補うために作られる人工補綴物(義補綴物)のことです。

特にがん治療後、手術によって体の一部を切除した場合、その部分をカバーし「自分らしい外見」を取り戻すために活用されます。

欧米では古くから普及しており、日本でも技術進歩とともに自然な仕上がりや装着感、安全性への配慮が進み、多くの患者さんに利用されています。


2. 主な種類と用途

顔面エピテーゼ
目・鼻・耳など顔の一部を再現するものです。皮膚色や質感も個別調整できるため、「他人から気づかれないほど自然」と評判です。

乳房エピテーゼ
乳がん手術後に胸部形状を補う目的で使用されます。「下着だけでは不安」「左右差が気になる」という方にもおすすめです。

指・手足エピテーゼ
指先や四肢欠損時に自然な外観を再現します。細かな動きは難しいですが、“見た目”として大きな安心感につながります。

その他
口唇、顎などさまざまな部位への対応例があります。「こんな場所でも作れる?」という疑問も専門家へ相談可能です。


3. 製作方法と特徴

オーダーメイド

  • 患者さんごとの皮膚色や形状、左右差まで細かく調整し、一人ひとり専用に製作されます。
  • シリコーン樹脂等、生体親和性素材(肌になじみやすい柔軟素材)が多く使われています。
  • 完成までには型取り→試作品チェック→微調整→本製品完成…という流れで数週間~数ヶ月かかることもあります。

装着方法

  • 専用接着剤による貼付
  • 眼鏡フレーム利用(耳介欠損の場合等)
  • インプラント固定 など
    日常生活で違和感なく使えるよう工夫されています。

メンテナンス

  • 着脱可能なので衛生管理もしやすい
  • 経年劣化や破損時には修理・再製作も必要になります

4. エピテーゼのメリットと注意点

メリット

  • 自然な外観
    最新技術によって色味・質感とも非常にリアル。「他人から気づかれない」レベルまで再現できます。
  • 心理的サポート
    「自信回復」「社会生活への復帰」につながり、“自分らしさ”維持にも大きく貢献します。
  • 着脱可能&衛生的
    毎日の洗浄も簡単なので清潔さキープできます。
  • 医療保険適用となる場合あり
    部位や制度によりますので事前確認必須ですが、一部公的助成対象になるケースもあります。

注意点

  • オーダーメイドは時間&費用負担あり
    既製品より高額になりやすく、完成まで数週間~数ヶ月要することも。
  • 経年劣化/破損時は修理or再製作必要
    長期間同じものを使い続けたい場合は定期メンテナンス計画がおすすめです。
  • 保険適用範囲は要確認!
    自治体ごとの助成金制度有無含めて主治医または専門窓口へ事前相談しましょう。

5. 実際どう相談する?どこで作れる?

大学病院形成外科や専門クリニック、「アピアランス支援センター」等で相談できます。

実際の症例写真提示や試着体験会なども行われている場合がありますので、不安点は遠慮なくご質問ください。

また最近では患者会サロン等でも情報共有できる場があります。同じ経験者同士だからこそ得られるリアルな声も参考になりますよ。


6. エピテーゼQ&A

Q:どんな素材?
A:主にシリコーン樹脂等、生体親和性高い柔軟素材使用。肌トラブル少なく安全性重視設計です。

Q:費用はいくらくらい?
A:部位・サイズ・仕様によって異なるものの10万円台~50万円以上の場合も。一部保険適用or助成金対象になることがありますので必ず事前確認!

Q:毎日つけっぱなし?
A:基本的には就寝時外して洗浄→翌朝装着スタイル推奨。入浴時のみ外す方もいます(装着方法次第)。

Q:誰でも使える?
A:年齢問わず男女とも利用OK。“自分らしい生活”送りたい全ての方対象です!


【まとめ】

エピテーゼは「失った身体の一部」を補い、自分らしい生活を取り戻すための大切な医療用装具です。

技術進歩のおかげで非常に自然な仕上がり&快適さも期待できるようになっています。

「どんなもの?」「費用は?」など疑問点あれば主治医または専門窓口へお気軽にご相談ください。

“あなた自身”そのものには変わりありません。不安になった時こそ正確な情報収集+周囲サポート活用――それこそ本当のお守りだと思います!