乳がんの治療では、手術で乳房を部分的または全摘出することがあります。
その後、「自分らしい体型を取り戻したい」という思いから乳房再建手術を選択される方も増えています。
しかし、再建手術後は見た目が整っても、身体の中ではまだ回復途中。適切なケアと注意が必要です。
ここでは一般的な情報をもとに、乳房再建手術後に気をつけたいポイントをご紹介します。
1. 再建方法によって注意点が異なる
乳房再建には大きく分けて2つの方法があります。
【A】インプラント(人工物)による再建
- シリコン製インプラントやエキスパンダー(皮膚拡張器)を使用。
- 比較的短期間で形状回復可能ですが、異物反応や感染リスクあり。
- 圧迫・摩擦・強い衝撃は避けましょう。
【B】自家組織(お腹や背中など自身の皮膚・脂肪・筋肉)による再建
- 自然な質感が得られますが、採取部位にも傷や負担が残ります。
- 血流維持重要!冷えや圧迫避けて安静第一です。
どちらの場合も「見た目は落ち着いていても内部はまだ回復途中」と理解しておくことが大切です。
2. 手術直後〜退院までの注意点
■ 安静と姿勢
- 手術側腕は無理に上げないようにしましょう(医師指示範囲内で可動)。
- 寝る時は仰向けまたは軽く上体起こす姿勢推奨。
- 傷口周囲への圧迫・摩擦NG!
■ 傷口ケア
- 清潔保持最優先。入浴許可出るまではシャワー控えめに。
- 赤み・腫れ・熱感あれば早め報告してください(感染サイン)。
■ 下着選び
- ワイヤー入りブラジャー禁止。柔らか素材&前開きタイプ使用。
- 医師から「補整下着」指示ある場合、その通り装着しましょう。
3. 退院後〜数か月間の生活上の注意
- 重い荷物持たない
→ 肩や胸筋へ負担かかり血流悪化リスクあり。 - 運動制限
→ ストレッチやリハビリ開始時期は必ず医師確認。焦らず段階的に。 - 入浴
→ 傷完全閉鎖&医師許可後OK。長湯避けて清潔保つ程度で十分。 - 睡眠姿勢
→ 横向き寝時には患側下にならないよう工夫(抱き枕活用◎)。 - 衣服選び
→ 締め付け少なく肌当たり柔らか素材推奨。縫い目位置にも注意。 - 紫外線対策
→ 傷あと色素沈着防止目的で日焼け止め or 衣類カバー忘れずに!
4. 合併症予防
| 症状 | 注意点 |
|---|---|
| 感染 | 発熱/赤み/痛み出現時すぐ受診 |
| 漏出液貯留 | 腫れ続く場合ドレーン管理確認 |
| インプラント破損 | 強打・圧迫避け定期検診受診 |
| リンパ浮腫 | 腕むくみ感じたら早期相談 |
※自己判断せず必ず主治医へ報告しましょう。
5. 心身両面からのサポート
見た目変化だけでなく、「これからどう付き合えばいい?」という心理的不安も自然なことです。
病院内「アピアランス支援センター」では下着選び・スキンケア相談など具体的支援受けられます。
また患者会参加で同じ経験者との交流も心強い助けになります。
【まとめ】
乳房再建手術後は、「見た目が戻った=完治」ではありません。体内組織や皮膚はいまだ回復過程にあり、無理せず丁寧なケアが何より大切です。
「痛み」「違和感」「不安」を我慢せず主治医へ伝えてください。
一歩一歩、自分のペースで“新しい身体との付き合い方”を築いていけば大丈夫です。不安点あれば病院スタッフや相談窓口へ遠慮なくご相談くださいね。
















