抗がん剤治療による脱毛は、多くの患者さんにとって大きな不安要素です。
治療終了後に髪が再び生えてきたとき、「前と同じような髪に戻るの？」「クセや色が変わったままなのでは？」という疑問を抱える方も少なくありません。
実際には、抗がん剤後に生えてくる髪は一時的に質感や見た目が変化することがありますが、多くの場合時間とともに落ち着いていきます。
ここでは、その特徴と回復過程、そしてケア方法について解説します。
1. 治療後に見られる髪質の変化
- クセ毛になる
直毛だった方でも、最初はウェーブやチリチリしたクセを伴って生えることがあります。 - 細く柔らかい髪
新しく生え始めた髪は産毛状で細く柔らかいため、ボリューム不足を感じやすいです。 - 色味の変化
黒髪だった人でも茶色っぽかったり白髪混じりで生えてくる場合があります。
これらはいずれも「毛根（毛母細胞）が薬剤ダメージから回復している途中」で起こる一時的な現象です。
2. 回復までのおおよその流れ
- 2〜3か月後：産毛状の柔らかい新しい髪が発毛開始
- 6か月頃：太さ・量とも増え、ショートスタイル可能になる方も多い
- 1年以降：徐々に以前の状態へ近づいていきます。ただし完全には元通りにならず「少しクセが残った」「白髪増えた」と感じるケースもあります
3. 髪質は戻る？
結論として、多くの場合1〜2年ほどで以前に近い質感へ落ち着いていきます。
ただし個人差があり、「以前よりクセ毛になった」「柔らかさや色味が違う」と感じ続ける方もいます。
それでも時間経過とともになじみ、自分らしいスタイルを楽しめるようになるケースがほとんどです。
4. ケア方法
- 低刺激シャンプー使用
敏感肌用・無香料タイプで優しく洗浄しましょう。ゴシゴシ摩擦せず泡で包むように洗います。 - 頭皮保湿＆紫外線対策
乾燥防止ローション＋帽子・医療用ウィッグで頭皮保護を忘れずに。紫外線ダメージは新しい発毛にも悪影響です。 - ドライヤーは冷風または弱風
熱風直当ては避けましょう。タオルドライ→自然乾燥ベースがおすすめです。 - カラー・パーマ再開慎重に
半年〜1年経過し十分な発毛確認後、必ず主治医へ相談してから行ってください。刺激性薬剤使用は早すぎると炎症リスクありです。
5. 気持ちへのサポート
「前とは違う自分」に戸惑う気持ちは自然なことです。
しかし、多くの場合時間経過とともになじみます。またウィッグ・帽子・ヘアアクセサリーなど“今できるおしゃれ”を楽しむ工夫も心強い支えになります。
不安な気持ちは病院内アピアランス支援センターや看護師へ相談してください。同じ経験者との交流（ピアサポート）も安心材料になりますよ。
【まとめ】
抗がん剤終了後、新しい髪は一時的に「クセ」「細さ」「色味」など質感変化を伴うことがあります。
しかし多くの場合半年〜1年ほどで落ち着き、1〜2年以内には以前の状態へかなり近づいていきます。
“焦らずゆっくり育ててあげる”ことこそ最大のケア。
不安点あれば主治医や専門スタッフへ遠慮なく相談し、自分らしいスタイルを取り戻す準備を進めてくださいね！
