抗がん剤治療や脱毛症などで髪の毛だけでなく、眉毛やまつげまで抜けてしまうことがあります。
髪はウィッグや帽子でカバーできますが、眉毛やまつげは顔の印象を大きく左右するため、「人前に出づらい」「鏡を見るたび落ち込む」と悩む方も少なくありません。
そんな時に注目されているのが「医療アートメイク」です。
本記事では、一般的な知識をもとに、「医療アートメイク」の基礎知識からメリット・注意点まで詳しくご紹介します。
1. 医療アートメイクとは?
医療アートメイクとは、皮膚のごく浅い部分(表皮層)に専用の針と色素を用いて着色し、眉・アイライン・リップなどを半永久的に描く施術です。
刺青(タトゥー)との違いは「深さ」と「持続期間」。
タトゥーは真皮層まで色素を入れるため一生残りますが、アートメイクは表皮層のみなので新陳代謝によって徐々に薄れ、2~3年程度で自然に消えていきます。
特に近年では美容目的だけでなく、**抗がん剤治療中の患者さんや脱毛症患者さんへの外見サポート(アピアランスケア)**として活用されるケースも増えています。
2. がん治療中になぜ役立つ?
- 眉毛脱落時でも自然な印象維持
毎日アイブロウペンシルで描かなくてもよくなり、「人前でも安心できる」という声多数。 - まつげ脱落時でも目元強調可能
アイライン施術によって目力アップ。「疲れて見える」「病気っぽく見える」印象軽減につながります。 - 心理的サポート効果
外見変化による喪失感は大きなストレス要因です。「以前と同じ自分らしい顔」に近づけることで心の安定にも寄与します。
3. 医療機関で受ける理由
日本では法律上、針を使って皮膚へ色素を入れる行為は「医療行為」にあたり、必ず医師または看護師など有資格者が行う必要があります。
そのため、安全性確保には美容サロンではなくクリニック等の医療機関で受けることが重要です。
- 感染対策(滅菌器具使用/ディスポーザブル針)
- 麻酔クリーム使用可
- 肌状態チェック&副作用対応可能
- 治療歴考慮した安全管理
これらすべて「医療だからこそ」提供できる安心材料です。
4. メリットとデメリット
メリット
- 毎日のメイク時間短縮
- 汗や水でも落ちない
- 脱毛中でも自然な外見維持
- 半永久的だが数年後には薄れるので修正可能
デメリット/注意点
- 費用:1部位5万〜10万円程度と高額(自由診療扱い)
- 痛み:麻酔使用するものの多少チクチク感あり
- ダウンタイム:数日赤み・腫れ出現する場合あり
- 色素残存:完全には消えず薄く残るケースあり
- 感染リスク:不衛生環境下では危険性増大 → 医療機関選び必須!
5. 注意すべきポイント
- 主治医へ必ず相談!
抗がん剤投与中や免疫抑制状態では感染リスク高いためタイミング要検討。「いつなら安全?」確認してから決断してください。 - 信頼できる施設選び
- 医師常駐か?
- 実績豊富か?
- 衛生管理体制明示されているか?
をチェックしましょう。
- カウンセリング重視
希望デザイン・色味・ライフスタイル踏まえて丁寧説明してくれる施設がおすすめです。 - 助成制度について
一部自治体では「乳房補整具」「ウィッグ」助成対象ですが、現状「アートメイク」は対象外の場合多し。ただ今後拡充期待されています。
6. 実際受けた方の声(一例)
- 「毎朝鏡を見るたび憂鬱だったけど、眉があるだけで気持ち前向きになった」
- 「温泉旅行も怖くなくなった」
- 「再発不安抱えながらも、自分らしく過ごせている実感ある」
こうした声からも、“外見ケア=心身ケア”という意味合いが強調されます。
【まとめ】
医療アートメイクは、美容目的だけでなく抗がん剤治療中や脱毛症患者さんへの大切な支援ツールとなり得ます。
ただし自由診療ゆえ費用負担あり、安全性確保には必ず信頼できる医療機関選び+主治医相談必須です。
“自分らしい顔”を取り戻すことは単なるおしゃれ以上に生活意欲回復につながります。
不安点あればまず専門家へ相談し、一歩ずつ検討してみてくださいね。