抗がん剤治療を受けていると、髪や爪だけでなく「肌」にもさまざまなトラブルが現れることがあります。
普段は気にならなかった乾燥やかゆみ、赤み、発疹…。
顔や手足など目立つ部位に症状が出ると、「人前に出たくない」「鏡を見るのがつらい」と感じてしまう方も少なくありません。
しかし、正しい知識と日々のちょっとした工夫で、多くの肌トラブルは軽減できます。
一般的な対策例をもとに、「抗がん剤中の肌ケア」について詳しくご紹介します。
1. 抗がん剤治療中に起こりやすい主な肌トラブル
抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などは、皮膚細胞にも影響を与えるため、副作用として以下のような症状が現れます。
- 乾燥(カサカサ・粉ふき)
- 赤み・発疹
- かゆみ
- 色素沈着(黒ずみ)
- ニキビ様発疹(ざ瘡様皮疹)
- 手足症候群(手のひら・足裏の赤み・腫れ・ひび割れ)
特に顔や首、手足など外気にさらされる部位で目立ちやすく、日常生活への影響も大きいです。
「いつもの化粧品がしみる」「服との摩擦で痛い」など、新たな悩みに直面することもあります。
2. 肌ケアの基本――“保湿”と“刺激回避”
【A】保湿を徹底しよう!
乾燥予防は最重要ポイントです。低刺激性・無香料タイプの保湿クリームやローションを朝晩しっかり塗りましょう。
お風呂上りは水分蒸発しやすいため早めに保湿してください。顔だけでなく首筋・腕・脚まで全身ケアがおすすめです。
【B】洗浄時は優しく
ゴシゴシ洗いや強い摩擦はNG。洗顔料やボディソープは泡立てネット等でよく泡立て、“泡”で包むように優しく洗います。
タオルドライ時も押さえるように水分を拭き取ってください。
【C】紫外線対策もしっかり
治療中は紫外線ダメージにも敏感になります。
外出時には帽子・日傘・長袖衣類で物理的ガード+SPF値しっかりめの日焼け止めクリーム活用がおすすめです。
ただし合わない場合は無理せず医師へ相談しましょう。
【D】清潔保持&過度な洗浄NG
汗ばむ季節でも一日1~2回程度で十分です。過度な洗浄は逆効果なので「清潔」と「保湿」のバランス意識を持ちましょう。
3. 症状別ワンポイントアドバイス
● ニキビ様発疹(ざ瘡様皮疹)
市販ニキビ薬ではなく必ず主治医指示に従ってください。自己判断せず早期相談!
● 手足症候群
歩行痛やひび割れ予防には厚手靴下&クッション性インソール利用も有効です。またハンドクリーム+綿手袋重ね使いもおすすめ。
● 色素沈着対策
美白化粧品よりまず紫外線遮断&保湿重視!焦らず時間経過とともに薄れていくケースも多いので安心してください。
4. 症状悪化時には早め相談!
赤み・強いかゆみ・ジュクジュクした場合など異常を感じたら自己判断せず医師または看護師へ相談してください。
我慢して放置すると感染リスク増大につながります。必要なら専用軟膏処方等も行われますので遠慮なく伝えましょう。
5. アピアランスケアとの連携活用
病院内「アピアランス支援センター」ではメイク方法やスキンケア商品選びについて具体的な相談も可能です。
「どんなクリームがおすすめ?」「メイクしていい?」など疑問点あれば遠慮なくご活用ください。
また同じ経験者から実際使って良かったアイテム情報共有できる場として患者会サロン等もうまく利用しましょう。
6. 心身両面から自分らしい毎日へ
見た目変化によるストレス、不安…それでも“あなた自身”そのものには変わりありません。
「今日はこれしかできなかった」「明日はもう少し頑張ろう」そんな小さな積み重ねこそ大切です。
不安点があれば一人で抱え込まず、ご家族や医療スタッフへ率直に話してください。
“自分らしい毎日”のお手伝い、それこそ本当の意味での『治療』だと思います。
【まとめ】
抗がん剤中の肌ケアは「保湿」「刺激回避」「紫外線対策」が基本。不安な変化には我慢せず早め相談しましょう。
一人ひとり違う悩みに寄り添ったサポート体制がありますので、ご不明点あればいつでもご質問ください!