### 抗がん剤治療中でも安心できるスキンケアとメイクの両立法

抗がん剤治療中のお肌は、通常よりもデリケートな状態になります。

でも、自分らしさを保つためのメイクを諦める必要はありません。

お肌への負担を最小限にしながら、スキンケアとメイクを両立する方法をご紹介します。

### お肌を守る基本のスキンケアステップ

抗がん剤治療中は、シンプルなケアが鉄則です。まず洗顔は、ぬるま湯か刺激の少ない洗顔料で優しく行いましょう。強くこするのは禁物です。

次に化粧水ですが、アルコールフリーで無香料のものを選び、手のひらで優しく押し当てるように馴染ませます。

「ハンドプレス」と呼ばれるこの方法は、こすらずに肌に水分を届けられるんですよ。

その後は、バリア機能を助ける保湿クリームで水分を閉じ込めます。

敏感になっている肌には、セラミド(肌の細胞間を埋める脂質成分)配合の製品がおすすめです。皮膚科の先生がよく推奨する成分でもあります。

日中は必ずSPF30以上の日焼け止めを塗りましょう。治療中は紫外線に対して特に敏感になることがあります。

「ノンケミカル」や「ミネラル」タイプの日焼け止めは刺激が少なく、多くの患者さんに好評です。

### スキンケアとメイクの理想的な間隔と組み合わせ

スキンケア後のメイクは、お肌が化粧水や乳液を十分に吸収してから始めるのがベストです。

目安として5〜10分ほど間隔を空けましょう。この時間、お気に入りの音楽を聴いたり、ハーブティーを飲んだりしてリラックスするのもいいですね。

メイク用品は「ミネラルファンデーション」など肌への負担が少ないものを選ぶと安心です。

これらは肌呼吸を妨げにくく、天然由来の成分で作られていることが多いんです。

治療中は肌色が変わることもあるので、ファンデーションは2〜3色用意しておくと便利。

その日の肌の状態に合わせて混ぜて使うこともできますよ。

アイブロウやチークなども、皮膚刺激テスト済みの製品がおすすめ。最近は「低刺激」「敏感肌用」と明記された製品も増えています。

メイク道具は清潔に保ち、特に治療中はスポンジやブラシを週に1回は洗うか、使い捨てのものを活用しましょう。

使い捨てスポンジは衛生面で安心ですし、力加減も調整しやすいんですよ。

### 優しく確実に落とす夜のクレンジング法

一日の終わりには、メイクをしっかり落とすことが翌日の肌状態を左右します。

抗がん剤治療中は、オイルクレンジングよりも「ミルククレンジング」や「クリームクレンジング」など、マイルドなタイプがおすすめです。

クレンジング料を手に取り、顔全体に優しく広げてから、指の腹でくるくると円を描くように優しくマッサージします。

こすらずに、ティッシュオフしてから、ぬるま湯で丁寧にすすぎましょう。

特に目元や口元は残りやすいので、専用のポイントメイク落としを使うと安心です。でも、こすらないように気をつけてくださいね。

クレンジング後はお肌が乾燥しやすいので、洗顔後3分以内に化粧水をつけることを「3分ルール」と呼びます。

これを意識すると、乾燥ダメージを最小限に抑えられますよ。

アピアランスケアは心の支えにもなります。

治療中の患者さんからは「メイクをすることで外出する意欲が湧いた」「鏡を見るのが怖くなくなった」という声もよく聞きます。

何より大切なのは、肌の状態を観察しながら、無理のない範囲で自分らしさを保つことです。

「今日はちょっとリップだけ」という日があってもいいんです。ご自身のペースを大切にしてくださいね。

不安なことがあれば、担当医や看護師、または専門のアピアランスケアアドバイザーに相談してください。

多くの病院では、治療前に外見ケアについてのアドバイスをもらえる場合もありますので、遠慮なく尋ねてみてくださいね。