### 脆くなった爪の保護と日常生活でのケア

抗がん剤治療を受けると、爪が脆くなったり、変色したり、時には剥がれたりすることがあります。

心配されている方も多いのではないでしょうか。これは「爪障害」と呼ばれる外見の変化の一つで、多くの患者さんが経験されています。

でも大丈夫、家庭でできる対策がたくさんあるんですよ。

まず基本は保湿です。キューティクルオイルやハンドクリームを1日3回程度塗ることで、爪の乾燥を防ぎます。

特に就寝前に塗って綿の手袋をすると、一晩中じっくり保湿できます。

私の患者さんからは「朝起きたら手がしっとりして驚きました」という声もよく聞かれます。

次に、薬局で手に入る透明のネイル補強剤(ベースコート)も味方になってくれます。

これは色つきマニキュアとは違い、爪に栄養を与えながら保護膜を作ってくれるんです。

「マニキュアは控えた方がいい」と思われている方も多いですが、この透明タイプなら主治医に相談してみる価値があります。

また、爪を短めに切り、優しく丸みをつけるのも大切なケアです。

爪が伸びていると引っかかりやすく、思わぬ時に割れたり剥がれたりするリスクが高まります。

爪切りは、古いものより新しいもののほうが刃が鋭く、爪への負担が少ないのでおすすめですよ。

### 家事や仕事での爪を守るテクニック

「治療中も家事や仕事を続けたい」という気持ち、とてもよく分かります。

でも抗がん剤治療中は、日常の些細な衝撃でも爪が傷つきやすくなるので、ちょっとした工夫が必要になります。

家事をする際は必ず手袋を着用しましょう。食器洗い用、掃除用と用途別に準備しておくと便利です。

特に洗剤を使う作業は手袋必須!洗剤の成分が爪を更に弱くすることがあります。

「手袋をすると作業がしづらい」という声もよく聞きますが、少し大きめのサイズを選ぶと指先の動きが楽になりますよ。

料理の際は、包丁を使う前に指サックを装着すると安心です。

実は私の患者さんで、普段通りに買い物袋を持とうとして爪が剥がれてしまった方がいらっしゃいました。

「こんな日常の動作で?」と驚かれていましたが、治療中は本当に爪が繊細になるんです。

重い物を持つときは指先ではなく、手のひら全体で支えるよう意識してみてください。

パソコン作業が多い方は、爪が長すぎないよう調整し、タイピング時の衝撃を減らしましょう。

キーボードカバーを使うのも一つの方法です。スマホの操作も爪ではなく指の腹で行うと安全です。

### 保護グッズの選び方と活用シーン

爪を守るためのグッズは、実はたくさん市販されています。生活スタイルに合わせて上手に取り入れてみましょう。

シリコン製の指サックは衝撃吸収に優れていて、特定の指だけを保護したい時に便利です。

薬局やインターネットで比較的安価に購入できます。「料理が好きで包丁を使いたい」という方には特におすすめです。

綿100%の手袋は就寝時の保湿効果を高めるだけでなく、薄手のものなら室内作業用としても活用できます。

「いつも手袋なんて面倒…」と思われるかもしれませんが、お気に入りのデザインを選べば気分も上がりますよ。

入浴時は専用の防水手袋があると便利ですが、なければビニール手袋の中に綿手袋を重ねる「二重手袋」も効果的です。

「お湯で手が温まるのが好き」という方も多いですが、実は熱いお湯は爪を乾燥させてしまうので、ぬるめのお湯に短時間つけるのがベストです。

趣味を続けたい方には専用グッズがおすすめ。

例えば、ガーデニングが好きな方には園芸用の柔らかい革手袋、ゴルフを楽しむ方にはパッド入りのグローブが役立ちます。

「治療中も好きなことを続けたい」という思いを大切にしながら、少しだけ保護を意識してみてくださいね。

爪の状態は抗がん剤の種類や個人差によって変わります。少しでも違和感や痛みを感じたら、遠慮なく医療スタッフに相談してください。

「こんな小さなことで…」と思わずに、早めの相談が回復への近道です。

みなさんの治療生活が少しでも快適になるよう、これらの工夫をぜひ試してみてくださいね。