### 抗がん剤治療中の爪変化とやさしいケア方法
こんにちは。抗がん剤治療を始める予定の方、現在治療中の方、そしてご家族の皆さん。
治療中に起こる体の変化の中で、意外と見落とされがちなのが「爪の変化」です。
髪の毛のケアには注目が集まりますが、爪のトラブルも日常生活に大きく影響することがあります。
10年以上にわたり患者さんと向き合ってきた経験から、知っておくと安心できる情報と、自宅で簡単にできるケア方法をご紹介しますね。
### どんな爪の変化が起きるの?心の準備と対策
抗がん剤は急速に分裂する細胞に作用します。
がん細胞だけでなく、爪を作る細胞(爪母細胞)にも影響するんです。具体的にはこんな変化が起きることがあります:
• 爪に縦線や横線が入る(横線は「ボー線」と呼ばれます)
• 爪が薄くなったり、もろくなったりする
• 爪の色が変わる(白っぽくなったり、茶色っぽくなったり)
• 爪が浮いてきたり、剥がれやすくなったりする
• 爪の周りの皮膚が赤くなったり、痛んだりする
大切なのは、これらの変化は治療の自然な一部だということ。
決して「何か悪いことが起きている」わけではありません。
そして多くの場合、治療終了後3〜6ヶ月程度で、健康な新しい爪に生まれ変わります。
あらかじめ知っておくことで、変化が起きても「あぁ、これね」と冷静に対応できますよ。
### 爪のカモフラージュと日常ケアの工夫
「変化した爪が気になる…」そんなときは、ちょっとした工夫で目立たなくすることができます。
• 水性のマニキュアを使いましょう。油性のものより刺激が少なく、爪に優しいです
• 除光液も「アセトンフリー」など爪に優しいタイプを選んでください
• 横線が目立つ場合は、縦ストライプのネイルデザインで上手にカモフラージュできます
• 爪が弱っているときは、ネイルサロンでのジェルネイルなどは避けた方が無難です
また、爪の形も大事です。短めに整え(白い部分を1〜2mm残す程度)、四角い形より丸みを帯びた形にすると欠けにくくなります。
爪切りよりも爪やすりで形を整える方が、爪への負担が少ないですよ。
### 爪を守る!日常生活での具体的な対策
治療中の爪は普段より弱いので、ちょっとした心がけで大きなトラブルを防げます:
• 家事の際は必ず手袋を着用しましょう(特に水仕事や洗剤を使うとき)
• お風呂上がりや就寝前に、爪と爪周りの皮膚に保湿クリームを塗りましょう
• 爪強化剤は週に2〜3回程度の使用が適切(毎日使うと硬くなりすぎて割れやすくなることも)
• 爪が剥がれかけたら、無理に引っ張らず医療用テープで優しく固定を
• 冬場は特に乾燥から爪を守るため、手袋の着用や保湿ケアを念入りに
ちょっとした工夫として、スマホの操作も指の腹で行うようにすると、爪への負担が減ります。
また、爪を噛む癖がある方は、治療中は特に意識して控えるようにしましょうね。
大切なのは、これらのケアを特別なことと思わず、日常のルーティンに組み込むこと。
そして、爪の変化に気づいたら、遠慮なく医療スタッフに相談してください。
見た目の悩みも、立派な治療の一部です。爪のケアを通じて、治療中も自分らしい毎日を送るお手伝いができれば嬉しいです。